く ち な し―身代わりの恋
続けて、衝撃の ″今″を教えてくれた。


私は、再び大橋の元へ走った。

大橋モータースに行くと、やはり大橋は不在。
整備士が、「またあんたか」みたいな顔をしていた。

「社長は恐らく奥さんの病院ですよ。最近は思わしくなくて、一日に二度は行かれるので」

「……そう」

私は、「お見舞いに行きたいから」と、奥さんの入院先を教えて貰った。
理が聞いた話だと、奥さんは数年前にご両親とお子さまと一緒に車で交通事故に遇ってしまったとの事。


″ 最悪な事故で、アユ以外は即死、そのアユもずっと意識不明の植物人間状態なんだって ″


大橋は、一人っ子だった奥さんのご両親とお子さんの葬儀を一人でこなしたのだと。


″それから、ノブは何かあると困るから遠出は絶対にしないんだってよ ″


そんな残酷な日常に、大橋は一人、身を置いている。

放っておけないと思った。
< 148 / 156 >

この作品をシェア

pagetop