く ち な し―身代わりの恋
「表に見たこと無い車があったけど」
その日の夜。何食わぬ顔で帰ってきた夫の祐介が、代車の事を聞いてきた。
眠れなくとも、既にベッドに入っていた私は、夫の顔を見ずに答えた。
(見たくもなかったし)
「ちょっと塀で擦ったの……弟の知り合いに修理をお願いしてる」
「どこ? 社名シールも何も入って無かった」
「名前は忘れたわ、完全に任せたから」
大橋は、あえて何も貼ってない車を私に貸したのだ。
突発的に見えて計算高い。
「気を付けろよ、変な事故起こして俺にとばっちり食わすなよ」
夫は舌打ちして寝室を出ていった。
女とホテルに入っていく姿を思い出したら、ムカついて、勝手に身体が熱くなった。
事故を起こしてなければ、とうに爆発していただろう。
悶々とし、一睡もできないまま、寝苦しい夜を明かした。
その日の夜。何食わぬ顔で帰ってきた夫の祐介が、代車の事を聞いてきた。
眠れなくとも、既にベッドに入っていた私は、夫の顔を見ずに答えた。
(見たくもなかったし)
「ちょっと塀で擦ったの……弟の知り合いに修理をお願いしてる」
「どこ? 社名シールも何も入って無かった」
「名前は忘れたわ、完全に任せたから」
大橋は、あえて何も貼ってない車を私に貸したのだ。
突発的に見えて計算高い。
「気を付けろよ、変な事故起こして俺にとばっちり食わすなよ」
夫は舌打ちして寝室を出ていった。
女とホテルに入っていく姿を思い出したら、ムカついて、勝手に身体が熱くなった。
事故を起こしてなければ、とうに爆発していただろう。
悶々とし、一睡もできないまま、寝苦しい夜を明かした。