く ち な し―身代わりの恋
「″蜘蛛女との結婚″…ダメだ、どこにも引きがない」

パソコンの画面を眺め悩んでいると、
コンコン!と、ドアから軽い音がした。

「理ー、今、何してるの?」

いつものごとく、息抜きに姉の梓が俺の部屋にやって来たのた。

「何って、作家が部屋に籠ってる時は執筆してるんだよ。 大体、ノックしてもこっちが返事する前に入って来たら意味なくね?」

姉弟(きょうだい)の間でそんなワンクッションは要らないの」

「俺が変な事してたらどうするんだよ」

「別に、一人Hしてたってどうも思わない」

「……ひ」

昔から姉はこうだ。
両親にはいい子の顔しか見せなくて、弟の俺には素で接する。
パソコンを覗き込んだ姉がバカにしたように笑った。

「″蜘蛛女との結婚″ って。ださっ」

「うるせー。てか。今日の姉さんの格好、ラフじゃない? 女子会?」
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