く ち な し―身代わりの恋
一瞬、″しまった″と思ったけれど。
身体が目的じゃないならラブホとか言わないだろうと、「はい、お任せします」と答えた。

《じゃあ》

大橋が提案してきたのは、とても意外な事だった。

《梓が作ったおにぎりを食べたい》

私は、聞き直した。

「おにぎりって? おにぎり?」

《他に何があるんだよ》

変な人だ、と改めて思いながら承諾する。
もしかすると、 奥さんは手料理をしない人なのかもしれない。

「じゃあ、火曜日に」

次はオニギリ持参のカラオケデートになった。何とも健全だ。


その約束を少しだけ楽しみにしていた私は、普段あまり作る事のないオニギリの具を何にしよう? と考えていた。
おかずも作った方がいいのか、ついネットの料理サイトを覗いたり。

けれど。
その約束の日の前に、夫がらみで事件が起きてしまう。
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