く ち な し―身代わりの恋
夜の8時。
インターホンが鳴った。
モニターを見ると、見覚えのある男性が立っていた。

「板垣先生、お話があります」

「申し訳ありません、主人は宮崎に行って不在です」

「なら、明日のうちらとの定例会合は欠席されるんですか?」

その男性は不機嫌に返してきた。
私は目を凝らして、もう一度モニターに映った顔を見る。

あぁ。やっぱり、そうだ。
商店街振興組合連合会の方だ。
話の内容は大まか想像できた。

「明日は私が出席します」

「ならば、奥さん、あんたでいい。今、話を聞いてくれ」

きっと責められる。
それでも逃げられない。

「……少々お待ちください」

私は、一度息をついて玄関のドアを開けた。
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