く ち な し―身代わりの恋
が。
二時間を経過しても大橋は来ない。
しかもキャンセルの連絡なし。
電話も出ないしメッセージも既読すらつかない。

何なの、あの人――

二時間も待った私も私だけど。
車から降りて本当に大橋が来てないか周辺を見渡す。
とても広い駐車場だけれど平日の昼間だし、田舎なのでガラガラ。
それでも大橋の車は見つけられない。

「帰ろ……」

折角、この日に合わせて予定を調整してきたのに。

もしかして、事故?
奥さんにバレた?
そんな小さな不安が過る中、私は来た道を戻る。

モヤモヤした気持ちとは裏腹に、空だけはスッキリと晴れ渡り、梅雨の終わりを感じさせた。
< 73 / 99 >

この作品をシェア

pagetop