く ち な し―身代わりの恋
「……くだらない」

義兄さんがますます顔をこわばらせて、とうとう焼酎を頼み、飲み始めた。

「でも、義兄さんくらい男前なら若い女も放っとかないだろ?」

いやいや、と言いながらもアルコールが入った義兄さんは、嬉しそうに俺の言葉を受け止めているようだった。

「あんまり、義兄さんにこんなこと聞きたくないけど」

「何?」

祐介さんは焼酎のお代わりをしていた。

「夫婦のさ。夜の営みとかちゃんとしてるの?」

やっぱり、ちょっと噴いた。

「何だよ、急に」

「俺は、結婚もしてないから分かんないけど、Hしないと空気以下の存在になると思うんだよね、お互いにさ」

「結婚して10年だぞ? 昔みたいにする気は起こらない」

「まだ10年じゃない。どのくらいの間隔でしてる? 1ヶ月? 」

「5年はしてないな」

祐介さんの答えに今度は俺がむせた。

「マジ?!」

それはダメだろ?!
多少酔ってるのもあって、俺は自慢の姉を枯らすな、とお節介な助言をした。
姉の梓は俺の友達の間でもかなり人気あったんだ。昔の事だけど。

祐介さんは俺と話しながらも、時折くるメッセージにまめに目を通していた。
多分、仕事のメールではないと思う。
可愛いスタンプが見えたから。
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