く ち な し―身代わりの恋
ドアを開けると、女の子らしい色合いの壁紙やアンティークな家具が見えた。
ベッドのシーツも水玉で可愛らしい。

【雄飛】さんは大橋の親戚の家で、皆で転勤か何かで引っ越したのだろうか?

でも、農家らしい畑があったし、転勤は違うかも。
想像を掻き立てながら部屋を見回すと、後ろ向きに飾られた木製の写真立てに気付いた。
いけない、と思いながらも、つい手が伸びた。
ひっくり返すと、

「これ、……もしかして」

大橋?

彼の若い時と思われる写真が入っていた。
今よりも繊細な線が時を感じさせる。

それにしても。
大橋の目線がカメラに向いていなくて、随分と画質が悪い。
よく見ると、周りに大勢の人がいて彼を拡大して収めたような感じにも見える。
ここは、大橋の事を好きだった女の子の部屋?

という事は……――

私は、棚に仕舞ってあるアルバムにも手を伸ばした。


「何してる?」
< 93 / 107 >

この作品をシェア

pagetop