振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
第9話「鳴り止まない鼓動」

「じゃあ、また連絡するね」

そう言って篠宮先輩は、ようやく私の手を離した。

指先から温もりが消えていく。

たったそれだけなのに、胸の奥が少しだけ寂しくなった。

「……はい」

先輩は何度も振り返りながら、人混みの中へ戻っていく。

その姿が見えなくなるまで、私はその場を動けなかった。


文化祭も終盤になり

校内には片付けを始めるクラスも増えてきた。

さっきまで賑やかだった廊下も、少しずつ落ち着きを取り戻している。

私は教室へ戻っても、どこか落ち着かなかった。

さっきまで繋いでいた右手を見つめる。

もう温もりなんて残っていないはずなのに。

まだそこにあるような気がしてしまう。

「澪ー!」

咲が後ろから勢いよく抱きついてくる。



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