振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「ねぇ、光くん。」
「ん?」
私は繋いだ手を見つめながら、小さく呟く。
「光くんは……。」
「最初に出会った時も。」
「二年ぶりに再会した時も。」
「ずっと私に優しいね……。」
「……。」
光くんは何も答えなかった。
でも。
繋いでいた手を、ほんの少しだけ強く握り返してくれる。
その温もりだけで十分だった。
言葉がなくても伝わるものがある。
私は小さく笑った。
そのあとも二人でゆっくり館内を歩く。