振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「おい光。」
隣から声がした。
樹だった。
「またニヤけてる。」
「……。」
「昨日、楽しかったんだな。」
「うるさい。」
そう言いながらも、否定はしない。
否定する理由なんて、もうどこにもなかった。
「もう隠す気もないじゃん。」
樹は呆れたように笑う。
光は視線を外したまま、小さく息を吐いた。
その時だった。
ガラッ。
教室のドアが勢いよく開く。
「篠宮先輩!」
元気な声が教室中に響く。
一年生の早乙女朱里だった。