振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「……やっぱり。」
少しだけ寂しそうに笑う。
「篠宮先輩の冴木さんのことを話す姿は、すごく優しかったから。」
私は何も言えなかった。
すると朱里さんは、まっすぐ前を向いたまま言った。
「でも。」
その一言に、私は顔を上げる。
「私、まだ諦めるつもりはありません。」
「……え?」
「篠宮先輩が冴木さんを好きなのは分かっています。」
「それでも。」
ぎゅっと鞄を握りしめる。
「私も本気で好きなんです。」
「だから。」
真っ直ぐな瞳で私を見る。