振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「一つだけ、聞いてもいいですか?」
「……はい。」
「冴木さんは。」
少しだけ声が震える。
「篠宮先輩のこと……好きですか?」
その質問に、私は言葉を失った。
「……。」
答えは、もう決まっている。
だけど。
喉が詰まって、声にならない。
光くんの笑顔。
繋いだ手。
頭を撫でてくれたこと。
『また一緒に出かけようね。』
全部が頭に浮かぶ。
私はゆっくり息を吸って、小さく頷いた。
「……好きです。」
その一言に、朱里さんは静かに目を閉じた。