振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
(……私には、こんな優しい声。)
その横顔があまりにも愛おしくて。
私はもう我慢できなかった。
一歩踏み出して、聞こえるように呼ぶ。
「光くんー!」
「…え?」
顔を上げた光くんが固まる。
目をぱちぱち瞬かせて。
私を見て。
もう一度見て。
「……み、澪ちゃん?」
「迎えに、来ちゃいました!」
その瞬間。
光くんの表情が一気に明るくなった。
「えっ!本当に?嬉しいっ!」
子どもみたいな笑顔で、小走りに駆け寄ってくる。