振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
私はその背中を見つめたまま動けなかった。
「澪?」
隣で咲が不思議そうに私を覗き込む。
「どうしたの?大丈夫?」
「……うん!大丈夫っ!」
小さく首を横に振る。
(“また”ってまた会える時あるんだろうか……。)
その言葉が、何度も頭の中で繰り返される。
もう会わないと思っていた人が。
「また。」
そう言ってくれた。
その言葉だけで。
少しだけ、明日が楽しみになってしまった。
でも——
その時の私は、まだ知らなかった。
その”また”が、思っていたよりもずっと早く訪れることを。