春がつれてきたきみは・・・
なんか嫌な予感しかしなかったから慎重に返信した。

「誰を?どうやって?」

『隣県にある月夜川高校の剣道部の監督さんだ』

え?
月夜川高剣道部といったら全国で三本の指に入る強豪校だ。

その監督さんを私が?幼気な若干15歳の私が?

しかも、いくら地元の高校に剣道のスポーツ推薦で入学が決まってるといっても、腕前は中の中。

月夜川剣道部なんて雲の上の存在だ。

そこの監督がなんで私に助けを求める?

強靭な肉体と精神を持って部員たちを指導する人をなぜ?

「月夜川剣道部の監督をなぜ私が救うの?」

『理由は言えないよ。彼の沽券に関わることだからね』

何それ?

理由がわからなくちゃ救うことなんてできないのに。

「カナのパパは一度言い出したら引かないからねえ」

アキがクスッと笑う。

口元に近づけたアキの手は白くて細い。その手にはすり傷や打撲の跡がいっぱい。

まあ、私だって負けず劣らずなんだけど。

いくら弱小剣道部でもそれなりに稽古は厳しい。

体にはいつも青タンや擦り傷が無数にある。手も足もマメが潰れて血だらけだし。

でももう部活は引退したのだから高校入学まではそんな厳しい環境から解放される。

アキとふたり、どこへ行こうかと考えていたところに、父から奇妙な任務を言い渡されたのだ。
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