君の隣は、呼吸ができる
その時、姉の近くで玩具を振り回していた姪っ子が、
とてとてと近づいてくる。

「ねぇね」

爆発しそうだった思考がふっと止まった。
にこぉと笑いかけられて、思わず頬が緩む。

「なぁに?」

この子だけは私を年上扱いしてくれる。最高の癒しだ。

「あーけーて!」

小さな手に握られていたのは、
さっき渡したテーマパークのお土産だった。

ボタンを押すと七色に光る、お姫様のスティック。

新商品らしくて、つい買ってしまったけれど。
気に入ってくれたみたいで嬉しい。

袋を開けてあげると、姪っ子は嬉しそうに私へ杖を向けた。

「プリンセスにな〜れ」

「ありがとー!」

あまりの可愛さに、思わずギューッと抱きしめる。
小さな体は、ふわふわで柔らかかった。

ふと、真樹の顔が浮かんだ。

(真樹も、キーホルダー見たかな?)

私も同じ物を買って、まだ使い道を考えていない。

「そう言えば」

母がふと思い出したように口を開く。

「隣の真樹くん、家を出るんだってね」

「……え?」

(家を出る?)

「お母さん、寂しがってたよ」

抱きしめていた姪っ子の温もりが、一瞬で遠のいていく。

さっきまで騒がしかった頭の中が、今度はグラグラと揺れ始める。


(真樹が、――引っ越すの?)

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