君の隣は、呼吸ができる
その後の帰り道、何を話したのかはよく覚えていない。
気付いたら家に着いていた。

「おかしい、おかしい、おかしい……」

家の中でうろうろ歩き回りながら、私は頭を抱えた。

なんだか全然落ち着かない。

気を抜くと、さっきのことばかり思い出してしまう。

『俺が知らないところに行くな』

「何それーーー!?」

なんだか、変だ。全然、私たちらしくない。

また突然、真樹と見つめ合った瞬間を思い出す。

強い視線に、私の手首を簡単に覆ってしまった、
あの大きくて骨張った手……。

ぶわっと、顔が熱くなっていく。

「ぎゃああああー!」

両手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んだ。

「ちょっと。さっきから何なの?」

母が、山盛りの唐揚げを食卓に並べながら、呆れた声を出した。

「若いねぇ。体力余ってて羨ましいわ〜」

ソファにだらりとしている姉が、マドレーヌをかじりながら口を挟む。
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