君の隣は、呼吸ができる
今度こそ、真樹は眠ってしまったみたい。
少しだけ私に寄りかかってきた。
触れ合うところから、熱い体温を感じる。

撫でられたところが温かくて、胸の奥がむずむずと落ち着かない。

この前の夜の公園で、怖いと思った彼の手だけれど。
真樹に触れられるのは、やっぱり嫌いじゃない。

……でも。
頭を撫でられるのは子ども扱いみたいで。
それが、今はなんとなく悲しい。



こんなに近くに座っているのに、最近の真樹が分からない。
さっきも、私に何を伝えようとしたのだろう。

「……どこかへ行くのは真樹の方じゃん……」

すごく小さな声で呟いてみた。


前を向いたら、空いていた席に女の人が座っていて、私の姿だけが窓から消えてしまった。

身長だけじゃなくて、真樹の隣まで遠くなっていく気がした。
思わず自分の腕を抱きしめる。

(私がもっと大人だったら、真樹を理解できるかな)

穏やかな横顔を見つめる。
それから、足元へ視線を落とした。

明日、靴を買いに行こうと決めて、小さく頷いた。
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