君の隣は、呼吸ができる
今日は一段と暑い日で、ドアを開けた瞬間、むわっとした熱気が押し寄せた。
真樹はもう、うちの門の前で待っていた。
横顔が見えて自然と笑みがこぼれる。
「おはよー!」
彼が気付く前に、私から手を振って声をかけた。
――そして。
「!!!!!」
思わずその場で固まる。
今日の真樹は、いつものクールビズじゃなくて、落ち着いた色のジャケットを着ていた。
普段は無造作な黒髪も、丁寧に整えられている。
いつもの真樹なはずなのに、ぐんと大人びて見える。
(モデルさんみたい……!)
雑誌からそのまま飛び出してきたようなその姿に、目を奪われて。
気付けば、吸い寄せられるように距離を詰めていた。
「え、何?」
不思議そうに見下ろされて、慌てて首を振った。
「え、えっと。なんか、スーツ着てるなぁって……」
「ああ。今日、大事な契約があるから」
真樹は少し笑って、「暑すぎだけどな……」と首元を手で仰ぎながらぼやく。
それでも、きっちり締めたネクタイが窮屈そうなのに、不思議とだらしなくは見えない。
姿勢正しく立っている彼は、真夏なのを忘れてしまうほど涼やかだった。
「へー……」
今日の真樹は、顔を見るだけでなんだか緊張してくる。
騒がしくなった鼓動を落ち着かせようと、胸元を押さえた。
今度は、真樹が驚いたような顔をして、上から下までゆっくり視線が私をなぞる。
(!)
何も言わないまま、全身を確かめられている気がして少し恥ずかしい。
足元で一瞬、視線が止まる。
それから、私の顔をじっと見つめてきた。
彼の瞳がほんの少し揺れて、喉元が上下に小さく動く。
そして、唇がわずかに開いた。
(――何か言ってくれそう!)
そう思って、ヘラッと笑顔を向けてみた。
でも。
彼は不自然に視線を逸らして、ため息を漏らした。
「……じゃあ、行くか」
「うぇ!?」
「……う、うん」
そのまま歩き出されて、私は前のめりに倒れかけた。
自宅の門にしがみつきながら、真樹の背中を見つめる。
(えっ)
(あ、あれぇ……?)
真樹はもう、うちの門の前で待っていた。
横顔が見えて自然と笑みがこぼれる。
「おはよー!」
彼が気付く前に、私から手を振って声をかけた。
――そして。
「!!!!!」
思わずその場で固まる。
今日の真樹は、いつものクールビズじゃなくて、落ち着いた色のジャケットを着ていた。
普段は無造作な黒髪も、丁寧に整えられている。
いつもの真樹なはずなのに、ぐんと大人びて見える。
(モデルさんみたい……!)
雑誌からそのまま飛び出してきたようなその姿に、目を奪われて。
気付けば、吸い寄せられるように距離を詰めていた。
「え、何?」
不思議そうに見下ろされて、慌てて首を振った。
「え、えっと。なんか、スーツ着てるなぁって……」
「ああ。今日、大事な契約があるから」
真樹は少し笑って、「暑すぎだけどな……」と首元を手で仰ぎながらぼやく。
それでも、きっちり締めたネクタイが窮屈そうなのに、不思議とだらしなくは見えない。
姿勢正しく立っている彼は、真夏なのを忘れてしまうほど涼やかだった。
「へー……」
今日の真樹は、顔を見るだけでなんだか緊張してくる。
騒がしくなった鼓動を落ち着かせようと、胸元を押さえた。
今度は、真樹が驚いたような顔をして、上から下までゆっくり視線が私をなぞる。
(!)
何も言わないまま、全身を確かめられている気がして少し恥ずかしい。
足元で一瞬、視線が止まる。
それから、私の顔をじっと見つめてきた。
彼の瞳がほんの少し揺れて、喉元が上下に小さく動く。
そして、唇がわずかに開いた。
(――何か言ってくれそう!)
そう思って、ヘラッと笑顔を向けてみた。
でも。
彼は不自然に視線を逸らして、ため息を漏らした。
「……じゃあ、行くか」
「うぇ!?」
「……う、うん」
そのまま歩き出されて、私は前のめりに倒れかけた。
自宅の門にしがみつきながら、真樹の背中を見つめる。
(えっ)
(あ、あれぇ……?)