君の隣は、呼吸ができる
足を止めて、真樹ともう一度話すべきか。
このまま家まで振り向かないべきか。
答えの出ない問いを頭の中で繰り返しながらひたすら歩く。
ヒールの音が鳴るたびに、窮屈なつま先が悲鳴を上げていた。
突然。電柱に止まっていたセミが私めがけて飛んできた。
「ひゃあああ!?」
私の情けない声と、荒々しいセミの羽音が響き渡る。
避けようとした拍子にバランスを崩して、地面にしりもちをついた。
「いったぁ……」
全身に走る鈍い痛みに、顔を歪ませる。
腰をさすりながら視線を落とすと、履き替えたばかりのストッキングがもう伝線していた。
「えー……また……?」
「やだもう歩きたくないよぉ……」
全て、台無し。
背伸びしたって、結局私はこうなんだ。
すぐ転んで、すぐ騒いで。
やっぱり大人になんてなれない。
半泣きで座り込む私の前に、いつの間にか真樹がしゃがみ込んでいた。
落ちているカバンを拾いながら、心配そうに私を見つめる。
「おんぶするか」
「え、……おんぶ……?」
さっきまであんなに険しい顔をしていたのに。
穏やかでやさしい声をかけてくれる。
今度は小さな虫が近くに飛んできて、真樹が大きな手で追い払ってくれた。
いつもこうだ。
私が情けない姿を見せると、真樹はすぐに手を差し伸べてくれる。
私を、守ってくれる。
(ほんと私って子どもみたいだよ……)
それが嫌なのに。
真樹のやさしさに、無性に甘えたくなってしまう自分もいる。
だったらもう――潔く、妹でいた方がいいのかもしれない。
このまま家まで振り向かないべきか。
答えの出ない問いを頭の中で繰り返しながらひたすら歩く。
ヒールの音が鳴るたびに、窮屈なつま先が悲鳴を上げていた。
突然。電柱に止まっていたセミが私めがけて飛んできた。
「ひゃあああ!?」
私の情けない声と、荒々しいセミの羽音が響き渡る。
避けようとした拍子にバランスを崩して、地面にしりもちをついた。
「いったぁ……」
全身に走る鈍い痛みに、顔を歪ませる。
腰をさすりながら視線を落とすと、履き替えたばかりのストッキングがもう伝線していた。
「えー……また……?」
「やだもう歩きたくないよぉ……」
全て、台無し。
背伸びしたって、結局私はこうなんだ。
すぐ転んで、すぐ騒いで。
やっぱり大人になんてなれない。
半泣きで座り込む私の前に、いつの間にか真樹がしゃがみ込んでいた。
落ちているカバンを拾いながら、心配そうに私を見つめる。
「おんぶするか」
「え、……おんぶ……?」
さっきまであんなに険しい顔をしていたのに。
穏やかでやさしい声をかけてくれる。
今度は小さな虫が近くに飛んできて、真樹が大きな手で追い払ってくれた。
いつもこうだ。
私が情けない姿を見せると、真樹はすぐに手を差し伸べてくれる。
私を、守ってくれる。
(ほんと私って子どもみたいだよ……)
それが嫌なのに。
真樹のやさしさに、無性に甘えたくなってしまう自分もいる。
だったらもう――潔く、妹でいた方がいいのかもしれない。