君の隣は、呼吸ができる
ゆっくり顔を上げて、真樹が私を見る。

まっすぐに目が合う。

彼の瞳には、溢れそうなほどの温かい愛情が浮かんでいた。
そんなことに、私はやっと気付いた。


「俺は、再会した時から若葉のことが好きだった」
「……幼馴染として見られなかった」

頬に張り付いた髪の毛を、そっと耳にかけてくれた。

そして困ったような笑顔を向ける。

「若葉は、どんどん変わっていくから」
「置いていかれそうで……焦った」

「真樹……」

真樹が、照れたように目を細めた。

「おかしくなるくらいドキドキする……」

掠れた声で言って、今度は私の肩へおでこを強く押し付けた。


思わず、涙混じりに笑ってしまう。

「真樹も――ドキドキするの?」

「……当たり前だろ」


真樹の体が大きく上下する。

「久しぶりに、息できた……気がする……」


その一言が、胸の奥へ溶けていく。

また、温かい涙が、頬を伝った。


「ふふ」

私はそっと、真樹の背中へ腕を回す。

「……私たち、やっぱり一緒だね」

耳元で囁くと、私の胸の中で真樹が小さく笑った。


力をこめて抱きしめてくれる彼が、痛いくらいに愛おしい。

私も、もう一歩近付いてギュッと抱きしめる。

頬へ触れる髪が柔らかくて、そのぬくもりが嬉しくてたまらなかった。
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