誰も気づかない、読んでくれない

24:鏡

㉔『鏡』

祖母の家の洗面所には古い鏡がある。

子どもの頃から、「夜中の十二時には見ちゃだめ」と言われていた。

理由は教えてくれない。

大学生になった私は、迷信だと思って十二時ぴったりに鏡をのぞいた。

いつもの私が映っているだけだった。

拍子抜けして部屋へ戻ろうとした、そのとき。

鏡の中の私は動かなかった。

少し遅れて、

「今度は、そっちなんだね。」

と笑った。
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