Honey Melty
仕事中はカチッと締められているネクタイを今はゆるく結んでボタンも外しているから、大人の色気を含んでいる。
オンからオフへの切り替え方もはっきりしているので、そこも好き。
「真鳥のチェキも撮ったんだよ」
左に一回、二回と親指をスライドさせているので思わず「えっ」とこぼせば「うーそ」といたずらっ子みたいに笑った。
「…、そ、そんな嘘は、心臓に悪いですから」
「なんで?撮っちゃだめなの?」
「だめですよ。あんなの、ぜんぜん、だめです」
写真を撮られることに抵抗はないけど、うつる自分には嫌気がさす。
今日だってそうだ。
心から祝福をしていて、おめでとうございますって気持ちを込めてカメラの前に立ったけど表情は変わらずだった。3回撮ってくれたけどダメだった。チェキも枚数が限られているし私なんかのために3枚も無駄だったように思う。
笑いたいのに、笑えない。
私には、呪いがかかっている。
「言っただろ。凛としててかっこいいって。俺の気持ちを『あんなの』で片付けないで」
肘をついた手の上に整った顔が乗っている。口角を控えめに上げて笑う目の前の人は、私なんかのために、そんなふうに言ってくれる。優しい。