Honey Melty
「3枚中3枚ぜーんぶ無表情なのやばくない?」
「綺麗な子は無表情でもアリだな」
「出た、面食い」
「男はみんなそう思うだろ、——な、咲間!」
ゴフッ。
あ、あぶない。喉に詰まりかけて窒息するかと思った。胸をトントン叩き水で流し込む。
ええっ、咲間さん?!いるの?!いたの?!
確認したいけど後ろを向くにはちょっとばかし勇気がいるし、だから、とんかつを見つめて平常心を保つ。見てくんなってとんかつに言われてる気がするけどいいんだ。あとで美味しく食べてあげるね。
「え、何の話?てか、めっちゃ混んでて発狂するかと思った。あ、そこのソース取って」
「だから遅かったんだな。席取ってやった俺、優しーな。はい、ソース」
あざ、と適当にお礼を言った咲間さんは今来たようだ。初めから話題に入っていないことにほっと胸を撫で下ろす。
でも、後ろの人たち、特に女性は容赦なく「笑わない経理の子の話よ」と、やっぱり、どこか声音に苛立ちを乗せて咲間さんに教えてあげている。
私が笑えない理由を誰も知らないから、不審がられるのは仕方のないことだ。けれど説明したところで何かが解決するとも思えない。
『凛としててかっこよかった』
褒められることでもないけど、やっぱり、咲間さんの言葉には、すごく、救われた。
「その話題いつまでするつもりなの。暇だねぇ」