Honey Melty



あ、とんかつウマ!とサクサク音を鳴らす咲間さんはあっけらかんと言う。とんかつ、私も同じの食べてます。嬉しい…。


「笑ってないチェキ見ても嬉しくなくない?」
「それはもらった人間にしかわからないね」
「私は嫌だよ。気分下がっちゃう」
「勝手に下がっとけ」
「咲間、私は真剣に、」
「あのさ、」


咲間さんの気怠そうな、少し低い声が女性の声を遮る。喧嘩とか始めない、よね…?ドクドクと心臓が音を立てて、落ち着かない。


「豊越(とよえつ)は経理の子を、真鳥を可愛がってたよ」


豊越さんは経理部の先輩で、咲間さんたちの同期にあたる人。

私は豊越さんという女性がとても好きだ。気さくで笑った時のえくぼが可愛くて、お洒落で、ストイックで、尊敬できる先輩。仕事で行き詰まったら必ず話を聞いてくれるし、何度か飲みに行ったこともある。

いつだって私の味方をしてくれて、表情に色がない私に「真鳥ちゃん、可愛いね」って、微笑んでくれる、そんな素敵な女性。

心から、祝福している。ほんとに、ほんとだよ。


「『頑張り屋で、でもちょっとだけ危なっかしくて、真鳥ちゃんはね、私の大切な後輩なんだ』って。だから、お前らがとやかく言う必要ないの。わかった?」


言い聞かせるように、そう言う咲間さんの声はとても優しかった。


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