追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
誰にともなく呟く。

返事は当然ない。

エレノアの頭がわずかに揺れ、レオンの肩に寄りかかる。

その瞬間、レオンの動きが一瞬だけ止まった。

「……」

それ以上何も言わず、彼はそのまま寝室へ向かった。

暖炉の火が背中を照らす。

静かな足音だけが家の中に響いた。

寝室のベッドに、そっとエレノアを下ろす。

毛布を引き上げると、彼女は少しだけ身じろぎしたが、起きる気配はない。

レオンはしばらくその様子を見ていた。

「元王女のくせに」

小さく呟く。

「一番無防備だな」

それは皮肉のようでいて、どこか柔らかかった。

彼は手を伸ばしかけて――やめた。

代わりに毛布を整える。

その指先は、戦場にいた男とは思えないほど丁寧だった。

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