追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
私は何気なく繰り返す。

「レオン」

どこかで聞いたことがある気がした。

だが、思い出せない。

辺境―――この村に来てから、王都の話題など聞いていないのだから当然か。

「君は?」

質問が返ってくる。

私は少し迷った。

別に隠す必要はない。

だが王女の名は有名だ。

面倒事になる可能性もある。

結局、正直に答えた。

「エレノアよ」

その瞬間。

レオンの動きが止まった。

ほんの一瞬だけ。

だが私は見逃さなかった。

「何?」

「いや」

レオンは首を振る。

「知り合いと同じ名前だっただけだ」

嘘だ。

でも追及はしない。

人には触れられたくない事情がある。

そう、もちろんそれは私にも。

「そう」

会話は終わった。

だが、互いに少しだけ、引っかかりを覚えていた。

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