乾杯はふたりだけの秘密
「そろそろ行こっか。こんなとこでいつまでも喋ってたら、終電逃すよな」
「あ、そうだね」
ふたりは同時に立ち上がり、駅に向かって歩き始めた。
「で、返事は?」
「え?」
「やっぱ俺じゃ駄目か?」
「いや、駄目っていうか、もし別れたりしたら気まずいよね。同じ職場だと」
「はあ? それが理由で断ろうとしてるなら、認めねえから」
「別に断ろうとしてるわけじゃないけど」
もちろん付き合ったら、別れるつもりなんてない。ただやっぱり、恋愛に絶対はないと思う。
「じゃあ、簡単に別れられねえように、結婚する?」
「馬鹿なこと言わないでよ。そんな簡単に決めることじゃないでしょ」
「そんなこと言ってたら、前に進めねえじゃん」
「だって私、もう若くないんだよ。失敗が怖いし、別れも辛いの」
「何びびってんだよ。失敗ってなんだよ。そんなこと思わせねえから」
その自信がどこから湧いてくるのかわからない。けれど、賢吾の強い眼差しからどうしても逃れられない。
「俺だって、覚悟決めてきてんだよ。簡単に引き下がれねえから」
「賢吾……」
思わず呟いていた。
「なんか問題が起きたり壁にぶつかったら、別れるって選択じゃなくて、解決するまで話し合えばいいだけだろ」
その言葉には頷けるけれど、誰もがそう思えるわけではない。だからこそ、恋愛は難しくて苦しい。そして、躊躇してしまう。
それなのに、いや、それだからこそ、賢吾は初めから、きちんと向き合う覚悟だと伝えてくれている。
「どうする?」
「何を?」
「結婚」
「それは、追々で」
「俺、結衣のタイプど真ん中だと思うけど?」
不意にからかうような言葉を向けられ、頬が熱くなる。
図星過ぎて、結衣は返答に窮した。
「冗談」
「え?」
「結衣、もう一回ちゃんと聞いとく」
「うん?」
賢吾が不安げな表情を向けている。
「付き合ってくれるってことでいいんだよな?」
断る理由なんて、もうどこにもない。
結衣は笑顔で頷いた。
「なんの心配もいらねえから」
迷いのないその一言で、心の底から安心できた。賢吾といると、どんな困難も乗り越えられそうな気がしてくる。
幸せにするとか、大切にするという言葉より、その一言が自分の心には一番刺さるということを知った。
「あ、そうだね」
ふたりは同時に立ち上がり、駅に向かって歩き始めた。
「で、返事は?」
「え?」
「やっぱ俺じゃ駄目か?」
「いや、駄目っていうか、もし別れたりしたら気まずいよね。同じ職場だと」
「はあ? それが理由で断ろうとしてるなら、認めねえから」
「別に断ろうとしてるわけじゃないけど」
もちろん付き合ったら、別れるつもりなんてない。ただやっぱり、恋愛に絶対はないと思う。
「じゃあ、簡単に別れられねえように、結婚する?」
「馬鹿なこと言わないでよ。そんな簡単に決めることじゃないでしょ」
「そんなこと言ってたら、前に進めねえじゃん」
「だって私、もう若くないんだよ。失敗が怖いし、別れも辛いの」
「何びびってんだよ。失敗ってなんだよ。そんなこと思わせねえから」
その自信がどこから湧いてくるのかわからない。けれど、賢吾の強い眼差しからどうしても逃れられない。
「俺だって、覚悟決めてきてんだよ。簡単に引き下がれねえから」
「賢吾……」
思わず呟いていた。
「なんか問題が起きたり壁にぶつかったら、別れるって選択じゃなくて、解決するまで話し合えばいいだけだろ」
その言葉には頷けるけれど、誰もがそう思えるわけではない。だからこそ、恋愛は難しくて苦しい。そして、躊躇してしまう。
それなのに、いや、それだからこそ、賢吾は初めから、きちんと向き合う覚悟だと伝えてくれている。
「どうする?」
「何を?」
「結婚」
「それは、追々で」
「俺、結衣のタイプど真ん中だと思うけど?」
不意にからかうような言葉を向けられ、頬が熱くなる。
図星過ぎて、結衣は返答に窮した。
「冗談」
「え?」
「結衣、もう一回ちゃんと聞いとく」
「うん?」
賢吾が不安げな表情を向けている。
「付き合ってくれるってことでいいんだよな?」
断る理由なんて、もうどこにもない。
結衣は笑顔で頷いた。
「なんの心配もいらねえから」
迷いのないその一言で、心の底から安心できた。賢吾といると、どんな困難も乗り越えられそうな気がしてくる。
幸せにするとか、大切にするという言葉より、その一言が自分の心には一番刺さるということを知った。