~KissHug~
それから、何日かたった放課後のこと
私は掃除当番だった。

掃除の日誌を職員室におきに行った帰り
先にゴミ捨てに出た素良が、玄関で
立ち尽くしていた。

しばらく素良はそこに立っていたが
ごみ箱をおいて
去って行った。

  ごみ箱…

私は慌てて、ゴミ箱をとりに行った時
その影に人影を感じた。


芳樹と千鶴がキスをしていた。
唇を離して
何か会話して
見つめあって、またキスをした。

  ひどい…

また、千鶴は、素良を利用した。

あんなことしていたら
ゴミだって捨てられない

私は頭にきた。


思いっきりドアをガンと開いた。


驚いた二人が
唖然として私を見た。


「そういうことは
人に見られないところでしてくれる?
不愉快だわ。
気持ち悪いから!!」


頭にきすぎて
私は、すごいことを言ってしまった。


千鶴が
「何よ、あんた!」と言った。


「サイテーな女ね!」と返してやった。


「ちょっと!!」
発狂する千鶴を、芳樹が止めた。

「あんた、名前何?」


「松本 歩来よ。なんか文句ある?
女ったらしが!!」

唖然としてる二人を残し
全速力でごみ箱抱えながら走った。

  言っちゃった…言っちゃった…
  どうしよう…あんなこと言って
  明日からいじめられるかも…

「松本さん!!」後から呼ばれた。

素良だった。

あまりの慌てで、いつの間にか素良を
越して、走ってきたんだ。


「ごめん、ゴミ箱、忘れてきちゃって」

「いや…いいの…気にしないで…」

私はパニくっていた。


「龍崎くん、もう日誌おいてきたから
もう、帰っていいよ。」

私は、足元がふらつきながら、ごみ箱を戻した。

  まだ、いるかな…
  困ったな…
  ついつい言っちゃった

帰り支度をしている素良を見た。

  きっと傷ついてるんだ。
  好きな人のあんなとこ見たくない…

無神経な二人に腹が立った。


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