~KissHug~
私は、時間をずらそうと
支度をゆっくりした。

「じゃ、バイバイ」
素良が教室を出て行った。

  あいつら帰ってるといいけど
  素良もきっといやだろうな…

さっきのキスシーンが眼に焼き付いていた。

経験がない私には、刺激が強かった。

心臓がドキドキした。

窓から、外を見たりして時間をつぶした。


  私って、ちっちゃい人間だわ~
  情けない…

窓から見える景色に
自分の家をさがしてみた。

「あ、あそこにアレがあるから
家は、あの辺りかな~」

「今日の夕飯なんだろう
って…ダメダメ…君はダイエット中だ
歩来くん~
道は険しいのぉ…
早く家にかえりたい~」


「ね…だったら、なんで帰らないの?」

驚いて振り向くと
素良が立っていた。

「い…いつから?そこに?」

「いや~いまさっきだけどさ。
松本さん、ダイエットしてるの?」


顔から火が出そうになった。

「うん…かなり太り気味だから…」

「そうかな…」
素良が、マジマジと眺めたから
汗が噴き出した。


「俺は、いいと思うよ。」

冷たい表情の素良は
そこにはいなかった。
< 12 / 451 >

この作品をシェア

pagetop