~KissHug~
私は、もう芳樹について行く足をとめた。

   一人で行け!!

頭にきたから、反対側に引き返した。

途中で、素良と千鶴の後姿を見つけた。
千鶴と手をつなぎ
歩いて行く素良…

   今日、約束したのに…

つまらなくて、頭にきた。

携帯が鳴ったから
電源を切った。


   どいつもこいつも頭にくる…
   芳樹もバカだし
   素良はもっとバカだし

泣きそうになってきた。


   なんで、私だけ一人なの…


しばらく店を歩きまわって
本屋に行った。

立ち読みをしていたら
後に気配を感じた。


「何してんだよ。」

   素良?

「どうしたの?彼女のとこ行ったんじゃないの?」

「用事思い出したから、先に行ってって
だから、これから行くし…」


「どうして?」

「だって、ぷくちゃん俺に助け求めたからさ。」


「芳樹怒らせちゃった。」

「よくあることさ。」


「怖いから、家に行きたくなかった。」

「何かされそうな予感?」


「怖い目をしてたから…」

「あいつ、ぷくちゃんのこと
よっぽど好きなんだな。」


    私は、素良が好きなんだよ。



「ぷくちゃん、これ…」


素良が私の手に何かを握らせた。


「先に行ってて…」


素良の家の鍵だった。
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