~KissHug~
頬が桜色になっていた。
濡れた髪を

「俺がやりたい。」
そう言って

ドライヤーでさっと乾かした。

蒸し暑いから
もうじっとり汗ばんでくる。

髪の毛を高い位置で
おだんごにしてくれた。


「顔でかくみえるでしょ?
できればおろしてほしいな……」

鏡をみていない私は不安だった。

「かわいいよ、すごく色っぽいし。」

  くすぐったい…

「首筋が、やわらかそう」


そう言ってキスをした。
未知のゾーンでゾクゾクした。

話しをかえようと
芳樹に聞いた。

「髪の毛、慣れてるね。
私より上手だもん。
彼女たちにもこんな風にしてたんでしょ?」

「いや~誤解だな~
それは、ないよ。
俺さ……妹がいるんだ。
それこそちょっと小さい妹が~
『絶対おにいちゃんしか縛っちゃダメ』
で、よく髪の毛束ねてやってたんだ。」

私の髪の毛を弄びながら
芳樹は語り出した。

「父親は違うんだけどさ
妹が生まれた時は、すごくうれしかった。
柔らかくていい匂いがして
ミルクもすすんで手伝って
いつもダッコしてあげてたんだ。
かあさんがあの頃一番幸せそうだったな……」

後から芳樹が抱きしめた。

「可愛くて愛しくて、本当に夢中だった。」

唇が首筋を這う……


「その日は、学校から帰ってきたら公園に行く
約束を妹としていたんだ。
だけど、その時学校が居残りで
帰りが遅くなってさ。
家にもどったら、かあさんが半狂乱になってて
その日から
妹はもう帰ってこなかった。
とうさんとかあさんは離婚したんだ。
俺は何も知らなかった。
とうさんは
妹をつれて出て行ってしまった……
かあさんに聞いても
激しく泣くばかりで、
子供なりに空気を読んで
もう聞かないことにしたんだ。
もう妹のことも忘れることにした……」

消えてしまいそうな声だった
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