~KissHug~
「時間もったいないからさ。」

おいでと手招きした。

「なに?」

「顔洗おう。」

「どうして?変?」

「変。ぷーちゃんには似合わない。」

「なんで?だって、きれいになったでしょ?」

「ぷ-ちゃんじゃない。」

「お化粧してきれいになったら
アドレスとか聞かれたし、振り返って見られたよ~」

  ちょっとムキになった

「ほらね、変な勘違いするからさ。」

「勘違いってどういうこと?」
  ムカーーーー

「わかった、嫉妬してるんでしょ?」


芳樹は無言で顔を洗った。


「だって、千鶴さんだってこんな感じじゃない?
好きだったんでしょ?
どうして、千鶴さんはよくて
私は変なの?」

「似合わないから。」

「わけわかんない、昨日だって、あれから
ベタベタしてたくせして
鼻の下テーブルに落ちてたし・・・」

「え?見てたの?」

   マズイ・・・

「し、しらない!!」

バックの中からケーキを出した。

「せっかく一緒に食べようと思ったのに…」

   これも嘘・・・

みんな嘘ばっかり
素良に会いたくて
嘘ばかりついてる私・・・・


ひどい嘘

悲しくなった。
さっきのショックも
自分がイヤになって涙が洪水になって
化粧が真っ黒に流れた。

「ほら、すっぴんの方が素直でいいよ。」

芳樹が私の顔に洗顔をつけて
丁寧に洗ってくれた。

「まだ、残ってるな…」

また泡立てた。

「ぷーちゃんは、ぷーちゃんがいい。
嘘の顔なんていらないよ。」

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