~KissHug~

~33~

「なんて、挨拶するの?
友人でいいの?」

「いいよ。悪いな、あいつうっさいからさ。」

リビングに降りていくと
スーツケースが置かれていた。

ソファーに腰掛けている父親が振り向いた。


「松本 歩来といいます。
はじめまして。
素良くんとは同級生で、講習会も一緒なので
仲良くさせてもらっています。」

そう言ってお辞儀した。


「歩来さんは、素良とどういう関係?
ただの同級生なら、
男の部屋にあがりこんじゃダメでしょう。
そんなに素良を信用してるの?」

心臓が早く脈打つ

「いいだろ、そんなことどーでも。
挨拶が終わったから、行こう。」

父親と目が合った。


「!?」

  あれ?どこかで会った?

「あの…以前お会いしましたか?」
恐る恐る聞いてみた。

「いや、初対面だよ。」

階段で素良が呼んだ。


  あ・・・大野病院の先生に似てる・・・

「とうさん、行くからな。
いつものように、光子さん午前中来てくれるように
してあるから!!」


  光子さん?

「とにかく、何かあっても責任は
持てないよ。
そう思って、うちにくるなら
責任もって下さいよ。」

  なに、このクソ親父

「大丈夫です。いってらっしゃい。」


私は頭をさげた。
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