~KissHug~
部屋に戻ると
素良が急に、抱きしめてきた。

「おとうさん、まだいる…ん……」

唇をふさがれた。
頭の芯がしびれる
激しいキスにクラクラした。

「そ…素良…」

下で父親が何か叫んでいる。


素良は、わざとかと思わせるように
音と立てて
私の唇にキスしまくる。

そのうち父親の車の音がして
遠くに聞こえなくなった。


「あいつ愛人のとこに行くんだ……」

私へのキス攻撃を続けながら
素良がしゃべり出した。

「単身赴任みたいなもんだから
家にもめったにいないし
帰ってきたら必ず愛人のとこに行くんだ。
家には、荷物の洗濯や替えを取りに来るだけ…」

「じゃ、素良も一人みたいなものね…」

「も…って何?」

「芳樹も一人で暮らしてるから…」

素良はいきなり
私を押し倒した。


怖い顔で私を睨みつけた。

「あいつのこと今言うな…」

そして、あの日のような目つきに変わった。
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