~KissHug~
「芳樹の心の中は黒い塊で覆われてるから。
渦に巻きこまれたら、
痛い目にあうから……」


「黒い塊?」

「そう、すべてが恨み憎しみの世界。」

「誰にですか?」

「父親、自分をとりまく環境……
そして異母兄弟……」


「異母?」


 素良のこと……  

「自分が生まれた意味を
憎んでいるから。」


「これから、どうするつもりなのかな。」

「わからない。
何も話さないし。
ただ、私を抱くだけだから…」

リカの得意な顔を通り越して
私は、孤独と戦う芳樹を見ていた。


  孤独感に押しつぶされそうに
  なってるのかもしれない


「どっちにしても
一度連絡くれるように
いってもらえますか?
話したいので……」


「わかったわ。」

リカは勝ち誇った笑顔で
コーヒーを飲んだ。
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