~KissHug~
素良が乱暴に腕をひっぱった。

「痛い!!」

メガネの偉大さを痛感した。
足元もゆがんで見える。

「痛い!離して!!」

廊下から脇の教室に押し込まれた。

「芳樹になにされた?」

「メガネをとられたから、返してって言ってたら
あの人がメガネを落として、私が踏んだ…」

「なんで、とられたの?」

「かわいいって言った。」

「あいつ、どんだけ女ったらしなんだ!!」

素良は、やきもちをやいてくれてると
少し嬉しくなった。

「また、ち~を泣かす気なのか…」

  ・・・・・

私じゃなくて、千鶴のことか・・・
そうだった、私は何を
いい気になってたんだろう。

素良の好きなのは千鶴だった。


思い上がってむなしくなった。


「からかっただけよ。
誰もわたしなんて、相手にするわけないじゃない。」


卑屈な気持ちになった。


「今日は、俺の家に来る約束。」

「無理だわ。だってメガネがなくちゃ
歩けないし。」

「芳樹送っていくって言ったぞ。」

「おかあさんにメールするわ。
迎えに来てもらう。」



「あいつ、ぷくちゃんのこと
かわいいって言ったんだ。
俺しかしらなかったのに…」


そう言って、いつものように頬をむぎゅっとした。


そして私を抱きしめた。


  ねぇ?このHugはどういう意味?


  いつもの子供の遊び?


心が痛いの…
あなたは千鶴しか見えてないんでしょう?
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