~KissHug~

~54~

「バカね。素良・・・・・」

左手には、包帯がまかれていた。


私は、悲しくて涙が溢れ出した。


素良のまだ血のついた指に
口づけた。


「痛かったでしょう・・・」

「怖かった。」

「どうして・・・・・」

「もういやになったんだ。」

「ごめんね、素良・・・・」


素良の目から涙が流れ落ちた。


「歩来もあいつのところに行くんだろ?」


「どうしていいのか
わからないの・・・・・
素良も芳樹も
一人にしたくない・・・・・」


「芳樹は、歩来の手におえる奴じゃない。」


わかってるんだ。
芳樹の目の奥にある光が
冷たくて怖いこと。
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