~KissHug~

~60~

真実は闇の中へ


春江が二人の前から消えて
7年の年月が過ぎ去った。
思い出は遠く・・・・


治樹は大学院を出た。
その時同じ専攻をしていた
後輩の 井上 雅恵 と結婚を控えていた。


雅恵は、今まで遊びに遊びつくした
治樹にとっての
終着駅さながら
おだやかで懐の大きな女性だった。


何より治樹が一目を置いたのは
ものすごい記憶力と
同時通訳もできそうな英語だった。
治樹が尊敬できる女は早々
いなかった。


けして派手ではないが
雅恵に甘えていると
心が癒された。


駄々っ子のように
雅恵に甘えながら
  これが結婚生活でもいいな


仕事でも妻という存在が必要になり
外国の人間とも交流が多くなることもあって
思い切って結婚することにした。


大学にそのまま残り
教授を目指すという目標に
燃えていた。


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