サバイバル隠れんぼ(「スイッチゲーム」より抜粋短編)
8
 ここからは強行突破だとサダオは腹をくくった。
 三つ目のスイッチオンから二分後に、ボーナススイッチの場所が指定される。
 その通知があったら(携帯は音も振動もしない設定になっていた)、飛び出して一気に駆け抜けるしかあるまい。
 教室の半開きの扉のから窺うと、優しげな顔立ちの娘の姿がある。しかしサバイバルナイフなど持っていると、それだけで凄みが違った。もう一人のバットを構えた方はスイッチのある突き当たりの図工室を覗き込んでいる。扉の窓ガラスから中が見えるので、最初に歩き回ったときにに発見していたに違いない。
 やがて通知がある。
 幸運なことに一階だった。
 サダオは大胆にも彼女たちの脇の階段を狙う。強行突破に近いが、それでも長く追いかけっこするよりは良いように思った。
 飛び出し迫ったサダオに、アリサがナイフを突き出す。腕が切れた感覚がしたが、そのまま走り抜ける。階段の踊り場をターンしたときには、投げつけられたバットが床と壁に跳ね踊った
 一階まで駆け下りて、職員室のスイッチを押す。部屋を出るときにまたバットが飛んできて、腕でかばわなければ危ないところだったかも知れない。
 どうにか校庭まで走り出る。
 星空だった。
 そして背後から追いついてきた女の声がした。
 
「すみません、これを」
 
 さっきに切りつけてきた娘が困ったようにおずおずとハンカチを差し出している。既に戦いは終わっていた。
 
(「サバイバル隠れんぼ」完)

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