変わるなら今
「木下だよ、立候補しても絶対あの子に負けると思うんだよね」
木下というクラスメートに目を向けながら、美華が言った。私も、前にある自分の席で静かに読書をしているその子の後ろ姿に目を向ける。美華は続けた。
「んで、アイツが立候補したら絶対皆賛成するでしょ?だからさ、由麻。私を推薦してくれない?」
「え…?」
「推薦したら、沙紀とか杏奈とか、色々な人にも話合わせる予定だからさ!お願い!」
話を聞いて、思わず戸惑った。誰かを推薦するどころか、今まで授業でも積極的に手を挙げて発表したことはあんまりないから、複雑に感じる。何も答えられないでいると、沙紀や杏奈から、「大丈夫だって!ただ手を挙げて推薦すれば良いだけだよ?」「難しいこと頼んでないでしょ?」と口々に声をあげる。これはもう断ることはできないという事態を感じ、「…分かった。やるよ」と答える。それを聞いて、待っていたかのように、「やったぁ!ありがとう由麻!」と喜びの声を上げて抱き着いてきた。
「…というか、急にどうしてやりたいなんて思ったの?前に1回、文化祭の実行委委員をクラスから1名決める話を先生が言ってた時、やりたくないなんて言ってたよね?」そことなく聞いてみると、美華は「あぁ!」という声と同時に、抱き着いていた私の身体から放し、「実はね、文化祭実行委員にバスケ部の、あの先輩が立候補するって話を聞いてさ!これはもう行くっきゃないでしょって思って!」
私はその話を聞いて、なるほどと感じた。美華は目立ちたがりだけど、学級委員とか生徒会のような役割や仕事を積極的に引き受けるタイプではない。でも、男子バスケ部に部内だけではなく他学年や同学年の女子生徒からの注目の的の先輩がいて、美華もその人の憧れの内の1人である。その先輩が文化祭の実行委員に加わるという話を聞いて、今回の文化祭の実行委員の立候補に至ったということだろう。
 だが、うちのクラスには、木下さんという成績優秀で、学級委員であり生徒会に所属している女の子がいる。その人柄で、実行委員や仕事等は、木下さん自らが引き受けたり、推薦されることが多い。だからこそ、文化祭の実行委員の立候補において彼女を敵視している、ということである。「先輩カッコいいよねー」「美華は可愛いからアタックしたら絶対付き合えるよ!」等と口々に騒ぐ美華達の姿を見て、私は小さく溜息をついた。
 
 仲良くなって日が経つにつれて、何かと理由をつけられこのような頼まれ事をされることが多くなった。宿題、掃除、日直、係、委員会の仕事…。気が付けば3人とも、面倒なことは私任せ。たまにだったら良いけど、この頃少し、疲れや戸惑いを感じている。こんなのおかしいとは思うけど、私にそんなことを言う勇気はない。それに、今更1人になる勇気も…。だから、何事もなく当たり前のように引き受けている。…でも。
「…あー、今年の文化祭めっちゃ楽しみ!あたし、今年は先輩と回ろっかな~!ね、由麻~」
美華は私の腕を絡ませ、自信満々な笑顔で言った。そんな美華に、私も笑顔で、「うん」と短
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