変わるなら今
「ねぇ、昨日頼んだ社会のプリントやってきた?まだなら、今のうちに自分の写しちゃいなよ!」
それを聞いて、あぁ、そう言えばと思い、クリアファイルから三人分のプリントを取り出す。それと同時に、美華はプリントを引ったくり、「サンキュ!助かる!」とだけ言うと、沙紀と杏奈と共にお喋りしながら去っていった。小さく溜息をつき、社会のノートと教科書を出し、視線を落としてぼんやりと考えた。
今のも、いつか後悔することになるのだろうか。「自分でやってこないと駄目だよ」と言うことが、状況を変えるということなのだろうか。確かにそっちの方が正しいのかもしれないけど。再び手をぎゅっと握る。…これは、私が一人にならないための選択。断ったら間違いなく一人ぼっちになる。今のままでいることの方が、絶対後悔しない。

 その日の最後の授業前。
体育の授業の後で、着替えを済ませ教室に戻ってきた時のことだった。男子達が教室のドアを開けると同時に、「…おい、やべぇよ!次の時間抜き打ちテストらしいぜ⁉」と騒ぎ出したのだ。
「え、何で知ってんの?」
「隣のクラスの奴から、前回テストあったって聞いた。まだやってないなら、今日絶対あるって」
それを聞くと同時に、「えぇ、マジで?」、「今のとこ全く分かんね~」等と騒ぎ出す。今私の近くにいる美華達も、「聞いてないそんな話~」、「アイツほんっとに抜き打ち好きだよなぁ~」等と愚痴を零す。すると、杏奈が何か思い出したかのように、「そう言えばさ」と言った。
「美華、今回赤点取ったら、追加のプリント出されるって、先生に言われてなかったっけ?」それを聞いた美華も思い出したという表情で、「うわどうしよ…今からじゃマジ無理」と焦り始めた。
 次の授業は英語で、英語の先生が不定期に抜き打ちテストをすることがあり、英語の時間の前は、皆抜き打ちがないかとソワソワしたり大騒ぎしたりする。特によくあるのは、前回のクラスで抜き打ちテストが行われていたら、その次に、別のクラスでの英語の時間に行われる、というのがよくあるパターンである。そして、そのテストで三回連続赤点を取ると、追加で課題が出される。
「あーあ、もうマジで英語嫌い!」と怒っている美華に、沙紀や杏奈は、「まぁまぁ、宿題は由麻にやってもらって、うちらは遊びに行こうよ」等と言いながらなだめている。その話を聞いて、私は英語の教科書を読みながら、気付かれないように溜息をついた。またか…。すると美華は、「まぁそれはそうだけどさぁ…」と不機嫌な表情のまま続ける。
「実は昨日、親にすっごく怒られてさ…。あたしの部屋掃除してたら、隠してた今までの英語の抜き打ち見つかって。それで、今回も赤点取ったら塾に通わせるって」
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