檻の外へー極道なんて、大嫌いー
バンッ!と勢いよく扉を蹴り開けると、部屋の中には夜風が吹き荒れていた。
窓が大きく開け放たれており、そこには予想通り、ターゲットである組長、若頭、そして五人の幹部たちの姿があった。
彼らは窓枠にランヤードをくくりつけ、建物の外壁を伝って裏路地へ逃走しようとしている真っ最中だった。
(逃がすわけにはいかない……!)
私は痛む身体に鞭を打ち、真っ直ぐにリボルバーを構えた。
狙うのは、最初に窓枠を乗り越えようとしていた組長の足だ。ためらうことなく引き金を引く。
――パーンッ!!
「ぎゃああっ!?」
放たれた38口径弾は組長の太ももを正確に貫き、彼は無様な悲鳴を上げて窓際から絨毯の上へと転げ落ちた。生け捕りという条件はこれでクリアだ。
「おのれ、小鳥遊のガキが……!」
「クソッ、囲め!!」
残るは若頭と、五人の幹部たち。
私は彼らにも一発ずつ弾を撃ち込んで無力化しようと、リボルバーのシリンダーを振り出し、空になった薬莢を捨ててスピードローダーで新たな弾薬を装填しようとした。
――だが、それが致命的な一瞬の隙となった。
チャキッ、カチャッ。
弾を込め終え、シリンダーを戻して顔を上げた瞬間、私の視界は絶望に染まった。
「……動くなよ、お嬢ちゃん」
若頭の低くドスを効かせた声。
窓際から半円状に展開した六人の男たちが、六つの黒々とした銃口を、一斉に私へと向けていたのだ。
少しでも動けば、一斉射撃で蜂の巣にされる。分厚い防弾チョッキを着ていようが、頭や顔を撃たれれば即死だ。
肋骨の激痛と、圧倒的な死の恐怖が私の全身を縛り付ける。
援護の晴樹はまだ一階だ。
逃げ場のない組長室で、私は絶体絶命の窮地に立たされていた。