檻の外へー極道なんて、大嫌いー
(あぁ……なんだ、これで終わるんだ)
極度の緊張と恐怖の頂点に達した瞬間、私の心には、ひどく場違いな「安堵」が広がっていた。
私はかねてから、自分の手を血で染めて生きていくくらいなら、いっそ殺される方がずっとマシだと思っていたのだ。極道の娘として生まれ、自由も未来も奪われ、ただ汚れ仕事をこなすだけの人生。
こんな人生なら、ここで死んだっていい。
私は抵抗を諦めた。
手から力が抜け、握りしめていたリボルバーが絨毯の上にボトッと重い音を立てて落ちる。そして、ゆっくりと両手を頭の上に挙げた。
若頭が口角を上げ、引き金に指をかけるのが見えた。
私は静かに目を閉じる。
――パパンッ!! パンッ! パパンッ!!
その瞬間、私の背後から、鼓膜を劈くような凄まじい連射音が轟いた。
直後、目の前から「ぐあぁっ!」「ひぎっ!?」という断末魔のような悲鳴が立て続けに上がり、重い肉の塊が床に崩れ落ちる音が連鎖する。
ゆっくりと目を開けると、さっきまで私に銃を向けていた若頭と五人の幹部たちが、たった一秒もしないうちに全員、血の海に沈んで倒れ伏していた。全員、急所を正確に撃ち抜かれているが、絶妙に命だけは奪われていない「半殺し」の状態だ。
(……え? 晴樹って、こんなに早撃ち凄かったっけ?)
死を覚悟した直後の脳はうまく働かず、私はそんな呑気なことを考えながら、背後を振り返った。
しかし、そこに立っていたのは、晴樹ではなかった。