檻の外へー極道なんて、大嫌いー
「晴樹の言う通り、うち、門限とかうるさいから……。いつもの幼馴染が一緒じゃないと、親に怪しまれちゃうの。でも、送ろうとしてくれてありがとう。すっごく嬉しかった」
「っ……! そ、そうか! 親が厳しいなら仕方ねぇな! うん、無理言って悪かった! 気をつけて帰れよ、玲美!!」
私の「嬉しかった」という言葉に、樹はパッと顔を輝かせ、わかりやすく尻尾を振る大型犬のように機嫌を直してくれた。本当に、単純で、裏表がなくて、温かい人だ。
「ほら、帰るぞ玲美。もたもたしてると日が暮れる」
「うん」
晴樹に腕を引かれ、私は幹部室を後にした。
背中越しに、「総長ドンマイッス!」「お前、玉砕早すぎだろ!」という彼らの騒がしい笑い声が聞こえてくる。
倉庫を出て、冷たい夜風に触れた瞬間、私は小さく息を吐き出した。
樹たちと一緒にいるのは楽しい。けれど、彼らとの距離が縮まれば縮まるほど、私が抱える「極道」という嘘の重みが増していく。
「……悪いな、俺がでしゃばって」
バイクのエンジンをかけながら、晴樹がぽつりと呟いた。
「ううん。晴樹が止めてくれなかったら危なかった。……あの人たちを、こっちの世界に巻き込むわけにはいかないから」
私はヘルメットを被り、晴樹の背中に身を預けた。
この心地よい居場所を守るためには、私はずっと彼らを騙し続けなければならない。その痛みを噛み殺しながら、私たちは血の匂いが染み付いた本当の「家」へとバイクを走らせた。
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