札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
一章 札束ビンタ
──パシンッ!
オリヴィアの頬に冷たくて軽いもので弾き飛ばされる感覚がした。
痛くはないが、鼻腔に残る独特の香り。
(今のはお金!? わたし……札束でビンタされたの?)
オリヴィアは反射的に頬を押さえた。
手を出されて腹が立つはずなのに、喉から手が出るほどに欲しい大量のお金に殴られるのなら悪くないと思ってしまう。
(み、見たこともない大金がわたしの頬に触れたわ……!)
全身にぶわりと鳥肌が立つ。
よく見ると仮面の男は、分厚い札束を三束ほど握っているではないか。
オリヴィアが呆気にとられていると、ぺちぺちと追い打ちをかけるために頬に食い込む札束。
札束をまとめている紙が緩んだのかヒラヒラとお札が舞った。
「これが欲しいと思わないのか?」
この男の言うことに反発したいと思う気持ちはある。
あるけれど、オリヴィアの体は正直だった。
「──欲しいですっ!」
オリヴィアの体が無意識に動き、お金に手を伸ばす。
しかし無情にも札束は遠のいていき、オリヴィアはバランスを崩して前のめりになってしまう。
勢い余って仮面をつけた男性に覆い被さるようにして飛び込んでしまった。
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