札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「……っ!?」

「いたた……」


オリヴィアは男性の上に馬乗り状態だ。
勢いよく頭突きしていたせいか、ぶつかった額が痛む。
そんなオリヴィアの横でカラカラと音が鳴り、揺れているのが見えた。

(仮面が……!)

男性の仮面は落ちてしまったのだ。
ネイビーの髪が床に散らばっている方へと視線を流す。
ゆっくりと腕が外れていき、彼の顔が露わになる。
アイスブルーの瞳が細まり、不機嫌そうに顔が歪む。
宝石のように輝く瞳に魅入られるように動けずにいると……。


「……どいてくれ」

「ご、ごめんなさい」


オリヴィアは飛び降りるように男の上から退いた。
彼の横から慌てた様子で燕尾服を着た男性が手を伸ばしている。
起き上がろうとしている男性を見て違和感を覚えた。

(人間の体って、こんなにふわふわしていないわよね? それにこの顔もどこかで……)

オリヴィアは首を捻りつつ考えていたが、何かまではわからない。


「で……するのかしないのか?」

「……っ!」


オリヴィアが迷っていると、再び積み上がっていく札束。
その光景に釘付けになる。


「この金がいらないと?」

「もちろん欲しいです……!」


ケースから次々と出てくる札束にオリヴィアの思考が鈍っていく。
仮面をつけ直した彼の唇が歪んだ。


「なら、俺の言うことに従え」

「──はい、喜んで!」
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