札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
(アリスside)



──アリスは去っていく二人の背中を見つめていた。

(侍女を連れてこなかったのは失敗ね。あの子たち、誰も使えないんだもの……)

苛立ちをぶつけるように、アリスはそばにあったカップを叩き割った。

(ロベール様はあんなふうに庇ったりしなかった。わたくしが今までで一番だった……こんなことは絶対に許されない)

彼が愛おしそうにオリヴィアに触れた表情が今も脳裏に焼き付いている。
幼い頃からずっとずっとロベールの一番はアリスだった。
それなのにオリヴィアが選ばれてしまった。

オリヴィア・ディルムーン
よりにもよって、英雄ディルムーン辺境伯の長女。
彼女は今まで表舞台に姿を現すことはなかった。

しかし英雄の血が欲しいと、ディルムーン辺境伯の妻のミリの生家から、なんとかコンタクトをとろうとするものの、ことごとく失敗していた。

その理由はディルムーン辺境伯に溺愛されているため。
領地の立て直しや事業を成功するために力を尽くしているといわれたためだ。
彼らは国を守るために戦ったため、貴族側からは何も言えなくなってしまう。
彼の兄であるペリエの隣国への血生臭い話もあり、誰も彼らと関わろうとするものはいなくなっていった。

(なんでよりにもよって彼女なの? 彼女以外だったら、お父様に言ったらすぐ潰せるのに……)
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