札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
そもそも札束でビンタして泣いたり怒ったりしない女性は、彼女くらいなものだろう。
あのときの直感が間違っていなかったと思えた。

それにベッドで手の甲に口づけたときもそうだ。
そのときだけは少女のような反応をする。男性への耐性はまったくない。

(彼女を甘やかしたらどんな反応をするのだろうか)

役に立てば誰でもいい、そう思っていたはずなのにオリヴィアが気になって仕方がない。

(あの細腕のどこに力があるのだろうか)

ロベールが対峙したどの男性よりも単純に力が強かった。
まだまだオリヴィアる何かを隠し持っていてロベールを楽しませてくれるに違いない。
ふと現実に戻ると、好奇心に負けてしまった自分が嫌になる。
 

「フッ……」


仮面を取り去り、オリヴィアを押し倒したとき。
彼女の驚いた顔と照れたように赤らんだ顔が忘れられない。
口角を上げて手で額を押さえつつ上を向くロベールを見て、マルセルはそっと紅茶を出した。


「今日はオリヴィアとは別の部屋で寝る」

「……よろしいのですか?」

「オリヴィアがここに慣れるまでは時間が必要だ。それに彼女と戦うのは万全の準備を整えたほうがいいだろう?」


ロベールの冗談にマルセルもアイナスも顔を合わせつつ微笑んだ。

(こんなこと俺らしくないとわかっている。だが……)

ロベールは先ほどの出来事を思い出し、声を殺しながら笑っていた。


(ロベールside end)
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